能登町小木地区×大槌町安渡・赤浜地区「地域の今を知り、地域のこれからを創り育てる」車座トークを開催しました(坂口奈央准教授:災害文化)

10月26日(土)、石川県能登町小木公民館にて、小木地区の住民50名以上が集まる中、能登町小木地区×大槌町安渡・赤浜地区「地域の今を知り、地域のこれからを創り育てる」車座トークを開催しました。
本企画は、被災地域同士が交流し、経験や課題を共有、ともに考える「復興姉妹集落」という関係構築を目的に今年7月に始まり、今回で3回目となります。前回8月にオンラインで被災を経験した地域住民同士で意見交換をした際、「誰がどこに住んでいるのかがわからず、不安」、「地域における今後どのような変化が想定されるのか」、などの声が聞かれという声が小木側から出されました。それを受けて3回目となる今回は、小木公民館で昨年作成していた誰がどこに住んでいるのか、詳細に書き込まれた手作りの地図を囲みながら、「現在の生活について」「近隣に住む人の状況、お困り事」「改めて思う地域の良い所、これから大切にしていきたい場所、モノ、出来事」などについて、語り合いました。まさに、シンポジウムという形態では抽出できない、率直な生活者の観点による車座トークだからこそ実現可能な、地域の主体性を再構築する機会となりました。
一方、3.11の復興を歩む岩手県大槌町安渡・赤浜の4名にとっても、13年以上にわたる復興過程を振り返り、自分の言葉で被災や復興の経験一つ一つを語ることが、地域としての復興を問い直し、自分たちの地域のあり方を見直す契機となっていた。
本事業の最大の狙いは、小木にとっては被災を経験した先輩地域から学ぶことでもなく、大槌にとって、復興とは何かを教えることでもない。大災害を経験した地域同士による共感し合い、悩みを共有し合い、地域のこれからをともに考え合う「復興姉妹集落」としての関係構築です。個人同士やボランティアによる単発的な関係性ではなく、長期的継続的な相互作用がなければ、実現は難しい。被災からの復興に伴走する大学として、「復興姉妹集落」というこれまで見出されてこなかった関係構築がどのような展開をみせるのか、大学における被災地との関わり方を含め、今後研究と現場での実践の往復活動を行っていきます。
なお、当企画は、一般社団法人国立大学協会の助成を受けて実施しました。

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