令和5年度「大震災かまいしの伝承者」基礎研修会(釜石市)が実施されました

釜石市による「大震災かまいしの伝承者」基礎研修が、1月28日(日曜)に釜石市鵜住居地区の鵜住居公民館(応援センター)で行われました。この研修において、山本准教授、小笠原センター長、福留教授が講師を務めました。
「地震のメカニズムと津波被害」の地震編では、今年1月1日に発生した能登半島地震の揺れに関する紹介も行われ、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の被災状況だけで考えてはいけないこと、将来の発生が懸念される日本海溝、千島海溝の巨大地震等では、後発地震注意情報の出される可能性を指摘し、備えの重要性が強調されました。
津波編では、津波を理解する基礎知識として津波の速さを示す計算式の紹介からオリンピック陸上選手なみのスピードで海岸に押し寄せること、波の威力、津波には押し波と引き波があり、必ずしも引き波から始まる訳ではないこと、100年に一度程度で発生するレベル1の津波への被害抑止策から1000年に一度程度発生するレベル2の津波への被害軽減策へ対応するために防潮堤整備などハード対策と避難行動などソフト対策を組み合わせることの必要などについて解説が行われました。
「釜石防災市民憲章について」では、鵜住居地区防災センターにおいて多大な犠牲が出たことをふまえ、当時の住民(市民)、住民組織、市役所が一体となってワークショップやフォーラムを開催し、防災市民憲章の草案検討、制定に至った背景、経緯について紹介されました。
今回の研修には中学生から50歳代まで計12名の受講者が参加しましたが、受講後のアンケートでは、「震災、津波のメカニズムの基礎から学び直せる良い機会になりました」、「防災市民憲章について、多くの人たちの思いが込められていることを改めて知った」などの感想が寄せられました。当時の鵜住居地区防災センターで被災した方、中学生として避難した方なども受講しましたが、時間が経過した後、あらためて自身の経験をふりかえり、客体化できる機会だったのかもしれません。
なお、この基礎研修は5年目になりますが、地域防災研究センターでは当初の企画段階から釜石市へ協力しています。

 

写真の一部は、釜石市震災検証室からご提供いただきました。