岩手県農林水産部漁港漁村課との共催で、第29回地域防災フォーラム「東日本大震災をふまえた安全・安心な漁業操業について考える-漁船避難の観点から-」を2023年3月8日(水曜)に陸前高田グローバルキャンパス(たかたのゆめキャンパス)のモンティ・ホールとオンライン配信において開催しました。
第一部では3名の識者からの報告が行われました。岩手県農林水産部の阿部幸樹参事からは、約60名の漁業者へのヒアリングを元にした東日本大震災における漁船避難の実態と,岩手県内の漁船避難ルール作成の取り組み、シミュレーションに基づく避難海域の検討や情報伝達の取り組みなどが紹介されました。釜石海上保安本部の佐藤利明専門官からは、(株)東海新報社発行の「鎮魂3.11」の動画を示しながら、大船渡湾口防波堤からの漁船避難について解説し、津波接近・来襲によって時々刻々と変化する状況の中で、沖出し避難することの危険を指摘されました。地域防災研究センターの小笠原敏記センター長からは、津波災害の概説とともに、今後想定される巨大津波(L2)の浸水想定図の捉え方について解説がありました。
第二部のパネルディスカッションでは、松林由里子助教のコーディネートのもと、第一部の報告者3名に、吉浜漁業協同組合の小坪智幸さん、船越湾漁業協同組合の臼井孝弘さんも加わって進められました。二人の漁業者は東日本大震災発生当時の避難の様子を語られましたが、当時の天候、停泊していた港から沖出し(避難)しやすかったことなど偶発的な要素も影響していることが伺われました。
今回のフォーラムには、会場に25名、オンラインで大槌町、宮古市、岩泉町の防災部局など9名の参加がありました。報告やパネルディスカッションにおけるさまざまな知識や体験から津波災害時の漁船避難について考える機会になりました。