「忘れない~生活が作るレジリエンスと災害文化」をテーマとして、第4回災害文化を2月14日・15日に実施しました。14日は「宮古市における災害/文化の伝承を見る」巡検を、15日は岩手大学一祐会館において全体会・ポスターセッションを実施しました。
巡検では、東日本大震災後の新しい街づくりとともに、被災体験を語り継ぐ被災地の中学校の資料室・国指定文化財となった蔵を活用した地域創生プロジェクト・南北朝時代から続く黒森神楽を見学しました。過去の記憶と未来をつなぐ復興のあり方とそこに見える(はずの)災害文化を考える機会となりました。
全体会では、津田喜章氏(NHK仙台放送局アナウンサー)に、ご自身が東日本大震災直後から担当されている番組をもとに、「市井の声に見る被災地の真実~震災8年 継続取材から分かったこと」と題する講演を行っていただきました。「ふるさとは人格の一部である」という明確なことばをいただき、あらゆる復興に向けての活動・事業に通底すべき考えだと心しました。ディスカッションでは、柳沼氏・徳水氏・畠山氏に、資料のアーカイブ化・地域復興に果たす学校の役割・心の深いところでの復興の必要性を指摘していただきました。指定討論者である大野氏・堀氏から三人のご発表をもとに、復興のあり方・災害文化研究の今後の課題をまとめていただきました。
ポスターセッションは、全体会の会場で行いました。高校生から70代まで、また、NPOのメンバーや研究者など様々な立場での様々な活動・研究が11件発表されました。さらに、震災後、「生きる糧を17文字に託しなさい」との金子兜太氏のことばに支えられた金澤洋子氏から、自作の俳句14句を色紙にお書きいただき、展示しました。
「あの日から、八回目の春をむかえます。行ってきますと仕事に出かけ、ただいまと帰る家は有りませんでした。…」という金澤さんの現実は、津田アナウンサーの「ふるさとは人格の一部です」というご指摘となって、災害と社会・災害と研究の在り方を問いかける研究会となりました。
(文責:山崎友子)
開催日時: | 2月14日(木)7:30 盛岡駅西口集合 17:30頃 盛岡駅西口解散 2月15日(金)13:00~16:30 |
---|---|
開催場所: | 2月14日(木)巡検/盛岡駅前出発巡検:宮古市 2月15日(金)全体会・ポスターセッション/岩手大学一祐会館大会議室(理工学部キャンパス内) |
プログラム:
<巡検>宮古市における災害/文化の伝承を見る 開催日:2月14日
見学先/ 宮古市役所山口公民館 ~黒森神楽展示見学
1824年創業東屋 ~国登録有形文化財と蔵を利用した震災後の文化拠点づくり
宮古市立田老第一中学校震災資料室ボイジャー
田老防浪堤・宮古市田老道の駅他
集合場所/JR盛岡駅西口 交通手段/借上げバス、三陸鉄道(宮古駅~田老駅)
参加費/見学費用・借上げバス費用無料。三陸鉄道自費(450円)。
<全体会・ポスターセッション> 開催日:2月15日 開催場所:岩手大学一祐会館
Part1 メインスピーチ
講師紹介:荒谷 栄子
講師:津田 喜章(NHK仙台「被災地からの声」キャスター)
演題:「市井の声に見る被災地の真実 ~震災8年 継続取材から分かったこと~」
休憩・ポスターセッション
Part2 ディスカッション
○コーディネーター 山崎 憲治
○パネリスト
柳沼 賢治(福島大学)~震災関連資料収集の取り組み
徳水 博志((一社)雄勝花物語代表理事、震災時雄勝小学校教諭)~地域復興と学校
畠山 昌彦(田老町漁業協同組合指導増殖課長)~生業における災害からの復興
〇指定討論者
大野 眞男(岩手大学教授、地域防災研究センター災害文化部門長)
堀 信行(東京都立大学名誉教授)