岩手大学地域防災研究センターは、地域の特性に応じた防災システム(三陸モデル)構築を目指し、自然災害や防災・減災、被災地の復興やまちづくり、あるいは災害文化の醸成・継承に関する調査・研究・活動を行っています。そこで得られた知見を多くの方々に広く知っていただくことを目的に、地域防災フォーラムを定期的に開催しております。
今回は、例年この時期に開催している神戸大学との連携フォーラムとして、東日本大震災から5年を経た被災地が抱える課題、中・長期化する復興の問題を取り上げました。約40名の来場者がみられ、被災者の生活再建支援をテーマに討議を行いました。
開催あいさつの後、まず岩手大学から、防災・復興の担い手としての女性の役割や活動の実態、仮設住宅でのお茶っこ的法律相談と被災者支援制度の問題、災害関連の法制度の概要と問題点およびこれからの対応方法に関する報告がありました。続けて神戸大学からは、阪神・淡路大震災の経験を踏まえた震災資料保存の意義や今日的な課題、災害法の国際比較と住宅再建面に着目した復興格差およびその対策、学生ボランティアによる復興支援活動の実績と今後の展開について報告されました。
質疑応答では、会場から多様な意見や質問が挙げられました。発災から一定期間が経過し、復興の進捗状況にも地域による差異が見受けられるなか、復興を推進する要因や妨げとなる環境などについて検討を深める機会となりました。
開催日時: |
2016年8月3日(水) 14:00~17:00(開場13:30) |
開催場所: |
岩手大学工学部キャンパス内 復興祈念銀河ホール(定員120名) |
プログラム:
総合司会
越谷 信(岩手大学地域防災研究センター副センター長,理工学部准教授)
開会あいさつ
南 正昭(地域防災研究センター長,理工学部教授)
第1部 岩手大学
報告「震災復興をめざす被災地女性の自発的活動」
堀 久美(岩手大学男女共同参画推進室准教授)
報告「仮設住宅訪問活動から見えた生活再建支援制度の問題点」
在間 文康(弁護士 いわて三陸ひまわり基金法律事務所)
報告「災害関連死と制度上の課題」
宮本 ともみ(岩手大学人文社会科学部教授)
報告「地域防災研究センターの最近の活動と地域創生」
第2部 神戸大学
報告「震災5年~被災歴史資料と震災資料保存の現状と課題」
奥村 弘(神戸大学大学院人文学研究科教授)
報告「復興5年~被災者生活再建の残された課題」
金子 由芳(神戸大学大学院国際協力研究科・都市安全研究センター兼任教授)
報告「神大学生ボランティア支援室の活動からみる復興格差」
東末 真紀(神戸大学 学生ボランティア支援室 ボランティアコーディネーター)
質疑応答
ファシリテーター 松岡 勝実(岩手大学地域防災研究センター兼務,人文社会科学部教授)
北後 明彦(神戸大学都市安全研究センター教授)
閉会あいさつ
北後 明彦(前掲)