3月17日(日)午後1時~3時に、大槌町立吉里吉里小学校で、吉里吉里地区の上記の会合が開かれました。トップダウンではなく、ボトムアップ型の地域自主防災計画づくりをしようという趣旨で、1年間かけて津波被害の検証や防災に関係した勉強会を継続して、その成果を、この地域独自の「自主防災計画」として作り上げようというものです。文部科学省の「学びを通じたコミュニティ再建事業」として補助金を受けて運営されています。
このプロジェクトで岩手大学地域防災センターは、地域主体の勉強会を、地域の方がと一緒になって企画・運営し、防災コミュニティの再建に寄与する役目を担っていきます。この地区にもともとあった防災の文化をベースに、さらに質の高い防災文化を構築しようするのを積極的にサポートしていきます。
3月17日の会合では、堺茂樹(地域防災研究センター長)が基調講演をし、自然災害の略史からはじまって、岩手県の災害対策の先進性や、①ハード、②まちづくり、③ソフトを連動させた多重防災の考え方の解説しました。後半では、今回の対象地である吉里吉里地区における防潮堤の防災効果などに話が及び、ソフトの対策の重要性も指摘しました。
続いて麦倉(教育学部、地域防災研究センター兼務)が、本年2月に実施したばかりの「避難行動および避難所運営調査」の中間結果を報告し、避難行動を速めた要因や避難を遅くした要因などについて報告しました。
参加された吉里吉里地区関係者からは、今回の津波の想定外の恐ろしさの話や、会合で討論するばかりでなくアンケート調査から意見を集めることの意義を再確認する意見や、逃げようとしない避難者のために救助者が危険にさられた話や、自主防災計画を作っていくという趣旨に賛同してくださる意見などが出されました。
岩手県総務部総合防災室危機管理監の越野修三氏は、県で取り組まれたことの一端を話され、教育現場において取り組まれたことの意義を話しました。大槌町危機管理監の森氏は、町として新たな防災無線対策に取り組んでいる現状を話しました。以上のほか、専門家ゲストして、早稲田大学浦野教授、防災都市計画研究所の吉川所長が今後の応援を約束してくれました。
閉会時に越谷信(岩手大学地域防災研究センター副センター長)は、地域社会と連携していくという立場に立つ岩手大学地域防災研究センターの立場を説明し、最後に、柳川(地域防災研究センター自然災害解析部門)が、アーカイブス化の取り組みについても説明しました。
今後、1年かけて、8回程度の学習会を開催し、その最終回に、地域自主防災計画を完成させる予定です。