2026年3月2日(月)、岩手大学北桐ホールにおいて第32回地域防災フォーラム「大船渡市林野火災から1年~発災からの変化と今後の課題とは~」が開催され、現地とオンラインを併せて約70名の参加がありました。
最初に千葉大学環境リモートセンシング研究センターの峠嘉哉准教授が「大船渡市林野火災の特徴および今後への留意点」というタイトルで基調講演を行いました。
峠先生は発生、拡大要因として、樹冠火(樹木の枝や葉などが燃焼、飛び火の発生など)による延焼速度が速かったこと、急峻な地形により人員、機材、水利など消防活動の困難性、2024年12月からの3カ月間が少雨傾向の中2025年2月は観測史上最少の降水量であったなどきわめて乾燥していたことに加え、火災発生当日は強風注意報が出されていたことを解説しました。
また、2017年の釜石市における林野火災など冬季から少雨による乾燥が続いた後、春先の強風により火災の拡大する事例が岩手県ではみられること、降水量、気温、相対湿度、土壌水分量など通常年と比較して大きく異なる水文学的特徴を指摘しました。
そして、森林から居住地へ火災が拡大すると延焼速度が高くなる傾向にあるため森林に近い居住区域における隣接火災への注意、全体的な長期トレンドとして林野火災の発生件数は減少傾向であるものの、発生すると大規模化することがあり、気候変動の影響として平均値の変化よりも「10年に一度の乾燥」のような極値の変化に注目することの必要性を提言されました。
基調講演に続き調査・成果報告として、岩手県森林保全課の栗田技術主幹兼保全・治山林道担当課長からは、林野火災からの復旧にむけた岩手県の取り組みについて、岡田真介地域防災研究センター准教授(理工学部)からは、UAVによる時系列比較を通した林野火災の被災地における地形測量の取り組み、松本一穂地域防災研究センター准教授(農学部)からは、林野火災後の土壌侵食・流出に関する調査から土砂災害発生リスクの高まっていることが紹介されました。
質疑応答、討論では、今回の林野火災現場の変化を中長期にわたり調査することの重要性、現時点の記録として残していくことが将来の林野火災の参考、知見となることの意義などが上がりました。
なお、この地域防災フォーラムの様子は、3月2日のNHK盛岡局、岩手めんこいテレビ、3月3日の岩手日報、3月6日の河北新報などで紹介されました。
林野火災をテーマとした地域防災フォーラムは初めての試みになりましたが、今後も岩手県の地域に関連するさまざまな災害現象、復旧・復興の取り組みなどについて取り上げたいと考えています。






