プログラムの目的
岩手の豊かな自然環境の保全や地球規模での環境問題の克服には、一人ひとりの心がけと実践的な活動が不可欠です。また、自然が豊かであることは自然災害の危険性が大きいことでもあり、自然災害から地域を守るためには、地域での防災活動が重要といえます。
このプログラムでは、環境問題や地域防災活動の重要性を地域、学校、職場などへ伝え、そこでの活動を牽引するリーダーを育成することを目的として、「エコリーダー育成コース」と「防災リーダー育成コース」の2コースを設けています。
受講生には、このプログラムを通して得られた知識やプレゼンテーション能力を生かして、学校での環境教育や防災教育の強化、町内会活動の企画と実践、あるいは企業が実施する社会貢献としての地域活動、などをリードして頂くことが期待されています。環境・防災分野に携わっている方にとってはキャリアアップ、また、補助教員あるいはNPOなどの新たな分野で活動を望む受講生にとっては再チャレンジの契機を提供するものです。
プログラムの内容
本プログラムには、「エコリーダー」と「防災リーダー」の2つの育成コースがあり、コース毎に以下の内容から構成されています。
エコリーダー育成コースは、「基礎講習」として生物及び化学及び気象、「テーマ別講習」として河川環境・大気環境/地球温暖化・廃棄物処理・環境マネジメント・都市環境・環境と放射能からなっています。
防災リーダー育成コースは、「基礎講習」として地学及び気象、「テーマ別講習」として地震・火山/地盤・洪水・津波防災・斜面災害・防災まちづくり・復興まちづくり・危機管理講座からなっています。
なお、演習2・演習3は選択制とし、発表会での発表資料準備のため希望者には資料作成の補助を行います。
下記のプログラムは、予定のもので、変更になる場合もございます。ご了承ください。
STEP1 基礎講習
テーマ別講習を理解するために必要な基礎学問(基礎となる理科)
STEP2 テーマ別講習
エコリーダー・防災リーダーとしての各種の専門知識の習得に加え、
実験や観察とその解析および対処法などの体験学習を行う。
STEP3 演習
修得した専門知識を活かし、地域コミュニティー等に伝える教授能力を
向上させるための教材の開発とプレゼンテーション能力の向上を目指す。
STEP4 修了製作
独自の教材開発、実際のプレゼンテーション(発表会)。リーダー認定審査会
コース | エコリーダー育成コース | 防災リーダー育成コース | |
---|---|---|---|
STEP1 基礎講習 |
生物 | 化学 | 地学 |
気象 | |||
STEP2 テーマ別講習 |
廃棄物 | 地震 | |
廃棄物処理施設等視察研修 | 防災関連施設等視察研修 | ||
河川環境 | 火山 | ||
環境マネジメント | 洪水 | ||
環境と放射能 | 津波防災 | ||
大気汚染・地球温暖化 | 斜面災害 | ||
都市環境 | 防災・復興まちづくり | ||
エコリーダーへの期待 | 危機管理講座・実習 | ||
共同視察研修 | |||
エコリーダー・防災リーダー活動報告会 | |||
修了認定 | 講習の2/3以上受講(出席) → 修了認定 → 発表会参加可能 | ||
STEP3 演習 |
テーマ毎の教材の理解・プレゼンテーションのスキルアップ | ||
①資料収集 ②説明資料の作成 ③プレゼンテーション | |||
STEP4 修了製作 |
独自の教材製作 | ||
発表会 | プレゼンテーション → 合格 → リーダー認定 | ||
修了式 | 修了証・エコリーダー認定証 授与 | 修了証・防災リーダー認定証 授与 |
講習内容例
エコリーダー育成コース | ||
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基礎講習 | 生物 | 生態系の構造と機能・生物多様性と種の保全の講義。 |
化学 | 化学の基礎(溶解、中和、酸化、還元等)を学び、旧松尾鉱山の強酸性坑廃水と県境の不法投棄現場の有機溶剤による土壌・地下水汚染をとりあげ、自然界での化学反応と環境浄化のための化学を理解する。 | |
気象 | 気象の現象・大雨災害、大雨をもたらすメカニズム、防災気象情報の利活用、災害への心構えなどを学ぶ。地球温暖化の原因や地球温暖化による影響、今後の予測・シミュレーション、地球温暖化問題を学ぶ。 | |
テーマ別講習 | 廃棄物処理 | ①廃棄物に関する法体系、廃棄物の排出と処理の現状、循環型社会への取り組み及び廃棄物のリサイクルについて学ぶ。 【実習】家庭ごみの組成調査 【視察】ごみ処理施設視察 ②各種廃車リサイクルのプロセスについて学ぶ。 【実習】廃家電のリサイクルの確認システムの実習・廃棄物の分離技術の実習 |
河川環境 | 河川における水質指標と環境基準の意味と意義や河川環境の成り立ち、河川の自浄作用、多自然川づくりについて学ぶ。 【実習】中津川において河川の流量の測定・水生昆虫および河川水の採取 【実験】実体顕微鏡による水生昆虫の同定・パックテストによる簡易水質測定 |
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大気環境 地球温暖化 |
大気と環境、地球温暖化防止に対する取り組み、新エネルギー、ポスト京都議定書の動き等について学ぶ。 【実験】大気中の二酸化炭素濃度の測定 【実習】CO2ダイエット日記・環境尺の利用実習 |
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環境マネジメント | 環境マネジメントのためのライフサイクルアセスメントによる環境影響評価について修得する。 | |
環境と放射能 | 放射線の基礎とその人体への影響、放射線防護、食品規制の考え方などを学ぶ。 【実験】サーベイメータによる放射線量測定実験・霧箱を使った放射線観察実験 |
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共同視察研修 | 【視察】田瀬ダム見学と防潮堤等海岸保全施設視察研修(2019年度) | |
都市環境 | 盛岡の都市形成の歴史ならびに東日本大震災後に進められている復興まちづくりに関する講義を行う。 【視察】盛岡中心部の盛岡歴史文化館から盛岡駅西のマリオスまで歩きながら、盛岡の都市の歴史、環境・景観、防災等の観点から解説を行う。 |
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エコリーダーへの期待 | 自然と人間社会の変遷・地域社会と環境問題の講義。エコリーダーとしての活動について学び考える。 |
防災リーダー育成コース | ||
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基礎講習 | 地学 | プレートテクトニクス・地震・地形形成の基本事項と、地震災害・火山災害・土砂災害について講義する。 |
気象 | 気象の現象・大雨災害、大雨をもたらすメカニズム、防災気象情報の利活用、災害への心構えなどを学ぶ。地球温暖化の原因や地球温暖化による影響、今後の予測・シミュレーション、地球温暖化問題を学ぶ。 | |
テーマ別講習 | 地震 | 地域防災における「自助」の勧め、地震被害、地震の基礎知識について講義する。岩手県の地震時の揺れやすさ分布、盛岡市の詳細震度分布について学ぶ。 【実験】「紙ぶるる」(耐震構造模型)の製作・野外での表面波による地下探査。 |
火山 | 研究者・防災機関・報道機関・住民による地域の安全を目指す継続的な取り組み、岩手山火山防災などの事例を学ぶ。 【実習】空中写真を用いた火山・活断層・斜面災害に関する地形判読 【視察】八幡平イーハトーブ火山局を視察見学 |
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共同視察研修 | 【視察】田瀬ダム見学と防潮堤等海岸保全施設視察研修(2019年度) | |
防災まちづくり | 盛岡の都市形成の歴史ならびに東日本大震災後に進められている復興まちづくりに関する講義を行う。 【視察】盛岡中心部の盛岡歴史文化館から盛岡駅西のマリオスまで歩きながら、盛岡の都市の歴史、環境・景観、防災等の観点から解説を行う。 |
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洪水 | 川と防災用語、洪水発生メカニズムと災害の特徴、水防活動とハザードマップ、ハザードマップの実際、近年の洪水災害、各種実験等について修得する。 【実験】模型を使った洪水による堤防崩壊実験 |
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津波防災 | 津波の基本的な発生メカニズム、その特徴を学ぶ。2011年東北地方太平洋沖地震津波による岩手県の被害の特徴を理解する。 【実験】造波装置による津波の模型実験 |
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斜面災害 | 東日本大震災や、2008年岩手・宮城内陸地震による土砂災害や2016年8月台風10号により岩泉町などで発生した土砂災害の事例などから斜面災害対策計画、住民の警戒避難のあり方について学ぶ。 | |
危機管理講座 | 阪神淡路大震災及び東日本大震災から県及び市町村の対応、住民の避難行動について何が問題だったのか、どのように対処すべきだったのか、について危機管理上の教訓を学ぶ。さまざまな訓練の実習を通じ、そのノウハウを学ぶとともに、個人としての災害対応力を向上させる。 【実習】クロスロードゲーム・状況判断のケーススタディー・DIG |
実施体制
講師名簿(2021年度)
本プログラムには、岩手大学を中心とした教員が、皆様の学習をサポートしています。
岩手大学理工学部 専任教員 | 南 正昭 |
岩手大学理工学部 専任教員 | 越谷 信 |
岩手大学理工学部 専任教員 | 伊藤 歩 |
岩手大学理工学部 専任教員 | 小笠原 敏記 |
岩手大学理工学部 専任教員 | 山本 英和 |
岩手大学理工学部 専任教員 | 齊藤 貢 |
岩手大学理工学部 専任教員 | 小山田 哲也 |
岩手大学理工学部 専任教員 | 石川 奈緒 |
岩手大学理工学部 専任教員 | 鴨志田 直人 |
岩手大学理工学部 専任教員 | 晴山 渉 |
岩手大学理工学部 専任教員 | 松林 由里子 |
岩手大学理工学部 専任教員 | 谷本 真佑 |
岩手大学農学部 専任教員 | 井良沢 道也 |
岩手大学地域防災研究センター 専任教員 | 福留 邦洋 |
岩手大学地域防災研究センター 特任教員 | 熊谷 誠 |
岩手大学地域防災研究センター 客員教員 | 越野 修三 |
岩手大学名誉教授 | 吉田 勝一 |
岩手大学名誉教授 | 平山 健一 |
岩手大学名誉教授 | 海田 輝之 |
北見工業大学社会環境工学領域 教授 | 渡邊 康玄 |
国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 副研究部門長 |
玄地 裕 |
学外連携機関(2021年度)
本事業は、下記の学外機関と連携しながら、継続している事業です。
国土交通省岩手河川国道事務所 |
国土交通省北上川ダム統合管理事務所 |
盛岡地方気象台 |
岩手県 県土整備部 |
岩手県教育委員会 |
岩手県 環境生活部 |
岩手県 復興防災部防災課 |
盛岡市 環境部 |
盛岡市 総務部危機管理防災課 |
資格授与と支援
本プログラムを2/3以上受講された方には、修了証を授与します。また、自ら選んだテーマに関する修了製作及びプレゼンテーションにおいて、リーダーとして十分であると認められた場合、「エコリーダー」、「防災リーダー」の認定証を授与します。なお、修了証及び認定証は岩手大学が授与するものです。
岩手県が環境あるいは防災に関する委員会を設置する際、地域代表委員の選任に当たっては、本認定を有する者を優先するなど、活躍の場を拡げることが期待できます。